教室に入ると一人の男が近付いて来た。 「おぅ」 日に焼けた顔に笑みを見せるこの男は、いかにも爽やか好青年。 「あっ、葉山。私に何か用?」 亜耶は知り合いらしいが、私には関係がない。 「お前じゃねぇよ。吉沢に用があるんだよ」 不意打ちは止めて頂きたい。 私はこんな好青年葉山を知らない。 縋(すが)る様に亜耶を見つめると、「はぁ」と盛大な溜め息を吐かれた。 「え?俺同じクラスなんだけど知らない?」 困惑する葉山に向かって、コクリと大きく頷いて見せた。