それから毎日、先生の姿を探した。

見つけては、「振り向いて」と念じていた。


今でこそ毎日振り向いて貰える様になったが、最初の頃は気付いてくれない事の方が多かった。


あの通路を通る度にこちらを気にする先生。私と目が合うと必ず「授業うけろよ」の合図をするようになっていった。

先生との繋がりが出来た事が、純粋に嬉しかった。



いつからか、その行為が先生と私だけの秘密のあいさつになっていた。

そう感じていたのは、私だけだとも知らずに。