「そうか?お前がそう言うなら、そう云う事にしとくか。送ってくから、靴履いたら駐車場に来い」
「私の意見はないんだね」
伸ばされた大きな手を掴み立ち上がる。
「お前にいちいち意見聞いてたら、絶対ぇ断んだろうが。だから、断らせねぇ様に命令してんだよ」
二人並んで廊下を歩く。
「なんて横暴な!それでよく教師やってるよ。ヤクザの方が似合ってる」
『こんなヤクザ教師いてたまるかっ!』
そう言おうとした私の耳に、
「…もうあんな思いはしたくねぇ」
低い声が小さく響いた。
驚いた私は先生の顔を見る事しか出来なかった。