――ペチン

おでこには軽い痛み。


「大丈夫そうだな」

そっと目を開くと、もう先生の顔は離れていた。


ホッとしたような、残念なような複雑な気持ちが入り交じる。


「何だ?その顔は。何期待してやがる?」

意地悪そうな顔を浮かべた先生に

「何の事?何も期待する事なんてないから!」

反論するので精一杯。



私は素直じゃない。


本当は

期待なんて




………してた。



「素直じゃねぇな」

笑いながら言った先生。

「十分に素直です」

紅潮させた頬を、ぷいっと膨らませる。