そんなある日、奇跡は突然訪れる。 それは、4時間目の授業中。苦手な数学の時間。 とっても憂鬱な時間を、空を眺め現実逃避をしていた。 何気なく中庭を見ると、後藤先生が一人歩いていた。 「ラッキー!」と思いつつ見ていると突然、先生がこちらを向いた。 先生は私の右側、つまり黒板側を指差しながら苦笑い。 よく口元を見ると「前向けよ」と口パクしている。 私はそれだけで胸の奥がキュンとした。 今日は数学くらい、真面目に受けようと思った。