「兄から聞いたんですが、こちらで尋ねればこの辺りの事は何でも分かると・・・」
「おうおう、そうさね。
もうこの場所に店を出して30年以上経つから、この辺りの事は何でも知っているよ」
兄が言った通り、確かにこの老婆なら何でも知っていそうだ。もし踏切り事故があれば、記憶に残っているハズだ。
私は回りくどい言い方はせず、単刀直入に尋ねた。
「最近の事故以外で、この辺りで踏切り事故が起きた事はありますか?」
唐突な問いに老婆は戸惑った様に私の顔を見上げたが、直ぐに落ち着きを取り戻して答えた。
「踏切り事故は無いね。間違い無く、あれが初めてだよ」
「そう・・・なんですか」
覚悟していたとは言え、傍目にもハッキリと分かるくらいショックを受けた。もう、この場にしゃがみこんでしまいそうだ。
そんな私の様子を見て心配したのか、老婆が私に聞き返してきた。
「何かあったのかい?」
「き、昨日の事故は友達が・・・」
老婆はその言葉にフッと目を伏せ、私もそれ以上は言葉に詰まり、気まずい沈黙が流れた。老婆が目を開く。
「・・・――そういえば」
唐突に老婆が口を開き、妙な話を始めた。



