安楽死


無い――

過去10年分の新聞が保管されていると聞いたが、その間に「踏切り事故」なんて記事はどこにも無い。

やはり、悪霊なんて存在しないんだ。
それなら愛美は、私にすら言えない悩みがあって自殺を・・・


いや――

10年以上前に事故があったとしたら、ここには保管されていない。その可能性もゼロではない。

でも、私にはそれを調べる手段が無い。


「ダメだ・・・」

私は肩を落とし、うなだれたまま席を立つ。無力な自分にため息を吐きながら、自分に歯噛みしながら図書館を後にした。


市立図書館は三春中央高校と三春駅の中間、学習塾を曲がり1キロ程進んだ場所にある。三春学園高校の入口付近にあり、三春市の学園都市構想の中心になっているらしい。

いつもなら隣にいる愛美を思いながら、私は独りでトボトボと駅までの道を歩く。


警察は自殺だと決め付けているが、私はどうにも納得する事が出来ない。

いや本当は、愛美が私に隠し事をしていた事を・・・それが自殺を考える程の切迫した悩みだった事を、認めたくないだけなのかも知れない。