安楽死


自宅を出て30分足らずで、三春市の市立図書館に到着した。やはり車だと早い。

「ありがと兄貴」

車のドアを開けて降りる私に兄が告げた。

「帰る前に、三春駅の前にある古本屋に寄ってみろ。俺の名前を出したら多分、色々と教えてくれるはずだから・・・
じゃあな!!」

兄には分かっていたのだ。私が過去の事故について調べようとしている事を・・・

走り去る兄の車を見送りながら、もう一度「ありがとう」と呟く。そして、私は図書館の出入口に向かって歩き出した。


図書館を利用する用事などない私は、中に入ってかなり驚いた。土曜日だというのに、勉強している人が大勢いる。何でわざわざ図書館で?

そんな事より大変な問題が・・・      
私は図書館が初めてで、一体何をどうすれば良いのか全く分からなかったのだ。


しばらく入口付近で右往左往していると、背後から嫌な声が聞こえた。

「あら・・・里川さんじゃないの?
図書館なんて、貴女には全く似あわない場所で出会あうなんてね」

た、高山っ!!
相変わらず人を見下した言い回しで、ホントに心底ムカつく。


無視しようと視線を逸らしたが、ある事を思い出した。以前高山は、図書館で勉強していると言っていた。

という事は、言わば図書館の常連だ。
何でも知っているに違いない。