線路沿いに設置された金網が吹き飛ばされた私の身体を受け止め、激しい衝撃音と共に大きく揺れた。
目の前の光景に、親指の激痛も、打ち付けた背中の衝撃も、私から全て失われた。
絶望する──
目の前の血だまりに全身の力が抜けた。
涙さえ流れない。
ただ呆然と、その中心にいる愛美を見詰める。
急いで線路を走って来る駅員達。
線路内に踏み切りから駆け込む人達。
遠くで救急車のサイレンが鳴り始め、パトカーが車道を埋めていく。
「息があるぞ!!」
到着した救急隊員の叫び声が、私の停止していた意識を呼び覚ます。
「担架だ、早く担架を!!」
毛布に包まれた愛美が担架に乗せられ、目の前を通り過ぎる。
私は線路脇にうずくまり、遠ざかる救急車の赤いテールランプを見送る事しか出来なかった。



