もう少しで踏切りに辿り着く場所で、私達のすぐ横を自転車が追い越して行った。
「今のって岸本じゃない?
アイツって、こっちの方に住んでたっけ」
何気なく私が呟くと、情報通の愛美が直ぐに答える。
「違う、違う。あの踏切りの向こう側にある総合病院に、妹さんが入院してるって聞いたよ」
「ふうん・・・
それにしても愛美、あんた何でもよく知ってるよねえ。一体どこから仕入れてるのよ」
そんな事を話している間に、岸本は踏切りを一気に渡って行く。その後ろ姿はどんどん小さくなり、直ぐに見えなくなった。
ああ、そうか!!
当たり前の事だけど、電車が来てない時に渡れば飛び込めるハズがない。私は一体何に怯えていたのだろう。
バカバカしい・・・
そもそも、電車なんてそんなに頻繁に通過するものではない。そんなに気にする程の事もないのかも知れない。
踏切りの一番手前にある、古道具屋の店頭に並べられた時計が偶然目に入った。
「もう4時かあ」
そう思った時、踏切りの警報器が鳴り、目の前で遮断器が下り始める――



