あたしはとうとう17歳になった。



まだ、海斗のケータイは繋がらない。



あたしが電話する回数も、随分減った。



月に3回すればいいほうだ。



さすがにあたしも、繋がらない電話を毎日かけられるほど強くない。



あたしはケータイを見つめてため息をついた。



今日はかけようかかけまいか。



迷った末、ケータイを机に置いた。



あたしからは繋がらないんだから、向こうからのを待つしかない。



そう考えたことも何度もあったけど、やっぱりかけてしまうあたし。



そして、繋がらずに落ち込むあたし。



そんな自分が可哀想に思える。



いつまでこんなこと繰り返すんだろ、あたし。



ため息が後から後から出てくる。



ため息をつくと幸せが逃げるとかいうけど、幸せを逃してしまったことを憂えてため息をつくんだと思う。



「うあああ~!」



あのマンションよりもかなり狭い部屋にあたしの声が響く。



「どうかしたか?」



階段のほうからお父さんの心配そうな声が響いてくる。



「何でもない!」



怒鳴るように返事を返し、あたしはベッドにダイブした。



もう、いつもいいように振り回される。



頭にあの爽やかな笑顔が浮かんできて、あたしは意地で掻き消した。