海斗が央の家に居座って、2週間。



もう央も何も言わなくなった。



あたしも特に何も思わず、毎日央のアパートへご飯を作りに行っている。



と、海斗が大声を出して立ち上がった。



「ああっ!」


「何?!」



料理中だったあたしは包丁を持ったまま、部屋に駆けこんだ。



「いいこと思いついた!」


「何なに?」



寝転がっていた央もズリズリと海斗の足元に這っていく。



「俺、央に世話にもならずに、家にも帰らずにいられるとこ見つけた!」


「どこ…?」



そんな都合のいいとこある?



「学校の寮!」


「はあ?」



脱力して央はべたりと畳に伏した。



「寮ならそんなに高くないし…。」


「いや、十分お金いるでしょ。」


「でも、学校なら…。」


「だいたい、海斗、学校行ってなかったでしょ?
親に退学届出されてたらどうするの?」



はたと気付いたように、海斗は固まった。



「だよなぁ。
もう、出席日数ヤバいだろ、どっちにしても。」



だよね。



留年だよ、きっと。



「考えてなかった…。」


「海斗が珍しく馬鹿なことを…。」



やれやれとあたしは台所に戻る。



住むところ以前の問題だな。