ふと美喜さんは真顔に戻った。



「あたしのことより、由宇希、あんたのことよ。」



あたしは視線を落として美喜さんから目をそらした。



「もう3ヶ月だっけ?
さすがに長いよ。」


「でも、海斗にも事情があるだろうし。」


「お互い、これからも会うってことに異論はなかったわけでしょ?
電話もするって言ってたんでしょ?」



あたしは黙って頷いた。



「なのに、やってることがおかしいわ。」



荒く息を吐き、美喜さんは頬杖をついた。



海斗もよく問題起こすよね、とコーヒーを口に含む。



まったくだ。



一番問題発生数が多い。



央の失踪事件はビックリしたけど、一番長引いて一番気を使ったのは海斗の叔父さんとの確執だ。



「海斗、あたしのこと嫌いになったと思う?」


「思わない。」



キッパリと言われて少し安心する。



「あたし、前から言ってんじゃん。
はまってんのは海斗の方だよ。」


「そうかなぁ。」



あたしの方が依存してるかもしれない。



「まぁ、とにかく、そんな不安がらなくていいと思うよ。」



無理かもしれないけど、と頭を掻きながら、美喜さんは笑った。



「ありがと美喜さん。」



こうやって話を聞いてもらえるだけでどれだけ楽になってるか。



きっと、本人のあたしにしかわからない。



気取ったことは言わず、ストレートに欲しい言葉をくれる美喜さんにあたしは心の中で頭を下げた。