「あんたも悪い男に引っかかったよねぇ。」



美喜さんがコーヒーを飲みながら、言った。



「泣けてくる…。」



スターバックスの一角のテーブルは、あたし達の憩いの場だ。



「電話番号かえるなんて、海斗の奴何考えてんだか。」


「やっぱり替えたのかな?」


「じゃなきゃそうそう変わらないでしょ。」



うう〜。


海斗のあの美味しいコーヒー豆はここ、スターバックスのものだと分かった。



皮肉なことに、美喜さんに海斗の相談をしにこの店に来てわかったのだ。



海斗と会わなく(←正確には、会えなく)なってから、もっともっと海斗のことを考えるようになってしまった。



もう、つらいったら…。



「そういや、美喜さん、来年から岩谷さんと同棲始めるんでしょ?」



美喜さんはむせて咳をした。



「誰に聞いたの?!」



言ったあとに気付いたらしく、美喜さんは憎々しげに「央〜。」と唸った。



「央に漏らした正毅も同罪だね。」


「まあまあ。
美喜さんと暮らすのが嬉しいんだよ。」



「当たり前でしょ。
あんまり気乗りしないなんて言い出したらマンションの敷金取り返してやるわよ。」



怖い怖い…。