じゃあ、どうしてこんなところに座りこんでるの。



自分の家でお母さんにでも看病してもらえばいいじゃない。



どうせ、お手伝いさんだっているんだろうし。



「怒ってる?」



怒ってるよ。



もう、せっかく会えたと思ったら、どうしてこんな…。



「大丈夫ですか?」



ふと、視線をあげると、あたしと海斗の前に人が立っていた。



「よかったら、うち来ます?
うちの親、夜帰ってくるの遅いんで。」



愛だ。



「いや、大丈夫です。」



海斗がどんな表情なのか、見えない。



「ほら、由宇希。
他の人の迷惑になるから。
話は由宇希ん家でしよう、いくらでも愚痴は聞くから。」



その、海斗の上から目線の口調に無償に腹がたった。



「無理だよ。」


「え?」


「うちは無理だよ。
両親いるんだから。
海斗、自分の家帰ればいいじゃん。」


「おい。」



海斗の声が尖った。



「子どもみたいに拗ねるなよ。
ここでは邪魔だ。」



どうして。



どうしてそんなに大人ぶるの?