「俺のこと覚えてる?」



その体制のまま、海斗があたしに微笑みかける。



「その顔だと覚えててくれてるみたいだね。」



覚えてるも何も…。



「長い間、顔見せなくてゴメンね。」



こんな会い方って…。



だんだんと人が集まってきた。



中には立ち止まってみている人もいる。



そりゃあ、校門前に崩れこんでる人がいたら凝視するだろう。



そういう目を一向に気にした風もなく、海斗はなおも一人で話し続けた。



「もう、嫌いになった?」



なりかけてたよ。



どうして連絡くれなかったの?



あたし、もうこのままずっと会えないかと…。



「ねぇ、もし迷惑じゃなければ、こっから連れ出してくれない?」


「…自分で立てば。」



海斗は困ったように笑った。



「ちょっと困ったことに、自力では難しいんだ。」


「どうして。」


「うーん、熱っぽくて。」