「美喜さん達が先にケーキ選んで。」


「あたしショートケーキ。」


「じゃあ、俺はチョコで。」



サーブは央だ。



「っと。
美喜さんはショートケーキだな。」



上に乗っているイチゴが危なっかしく揺れる。



「由宇希はどれがいいんだ?」



あたしまでサーブしてくれるらしい。



「央は何がいいの?」


「うーん、俺は素朴にモンブラン。」


「じゃあ、あたしタルトね。」



だいぶ慣れたらしく、央の手つきはスムーズだった。



「ほらよ。」


「わーい。」



ケーキなんか食べるの、久し振りだ。



「あと1コ残ってるけど。」



箱を覗きこんだ美喜さんが不思議そうにあたしを呼ぶ。



「4つは不吉だから、5つ買ってきたの。
後で美喜さん達で食べて。」


「なんか重ね重ね悪いな。」



岩谷さんは頭をかく。



「押し掛けたのはこっちだし、それくらい俺達でかぶるよ。」



さっ、食べよ。と央がフォークをとった。 




「コーヒーの氷も溶けるし。」


「じゃあ、いただきます。」



岩谷さんは嬉しそうにチョコクリームをつついた。



「もしかして、岩谷さんって甘いもの好き?」