紅葉の赤に紛れるような彼の髪。
けれど私には容易に見分けがつく。
これほど綺麗な色は、他に無いから。


「夜月っ」

息を弾ませて彼のもとへ一歩近づくたびに、私の中に一味違う色が生まれる。
今もまた、ひとつ。

「また来たのか。よく飽きないな」

彼の笑顔を見るたび、何かが花開く。
今もまた、もうひとつ。

これを聞いたら彼は怒るだろうか。
前のように、悲しそうに笑うだろうか。
それとも、泣いてしまうんだろうか。

でも私は知りたくてしょうがない。
だって、あなたの音が好きなんだ。


「夜月…」

「どうした?撫子」

この頬に残る温もりを、離したくない。