私が愛した色



「ご…っ」

ごめんなさいというには、気付くのが遅すぎた。
無神経だった。
絶対言っちゃいけないことだった。

夜月は何も言わない。
闇の中に揺らめくたいまつのように赤く揺れる瞳を向けて、ただじっと私を見つめていた。

消えてしまいたかった。
私が消えて、今言ったことも全て無しにできるのならそれでいいと。
本気でそう思った。


でも本当に綺麗だと思ったから。
だから口にしてしまったの。

あなたを綺麗だと思うのは、その美しさに少しでも近づきたいと思うのは、いけないこと?

「撫子」

やわらかな声が、涙を誘う。
そんな声、かけてほしくない。

泣きたくない。
あなたを傷つけた私のほうが泣くのは、とても卑怯な気がする。