「はるちゃん、充分可愛いわ。
それこそ陽とつり合わないんじゃないかって思っちゃうくらいにね。」

「そんなこと…ありえないですっ!!
陽のほうがあたしよりも勉強も出来るし、かっこいいし、スポーツはまぁ…五分五分くらいだけど…
でも優しいし、気が利くし…
あたしが悩んでることとかいつでも気付いて話聞いてくれるし…
もういいところを言い出したらキリないんです!!
いっつもあたしは助けてもらってばっかりで…。」

「そんなことないと思うけど…
きっと、はるちゃんは無意識のうちに陽の悩みを解決しちゃってるのよ。
陽って単純だから、はるちゃんの可愛い笑顔を見ただけで悩みなんて全て吹っ飛んでしまうのよ、きっと。」

「そんなこと…。」



これ以上聞いてると、恥ずかしすぎて頭がおかしくなりそうだ。

なんでこんなに俺のこと何でも話してしまってるんだ…?
しかも当事者抜きで。

というか問題は母さんだ。
いつもはすごくふんわりしてるというかぼーっとしていることが多いから…
まさかこんなに鋭いなんて思ってもみなかった。
悔しいくらい、母さんの言ってることは当たってた。



「あたし、劇頑張りますっ!!
というわけで帰りますっ!!」

「え?もう帰っちゃうの?」

「セリフ覚えなくちゃいけないんで…
でもまたすぐ遊びに来ます!!」

「いつでも来てね!!はるちゃん。
はるちゃんは私の未来の娘なんだから…。」

「未来の娘っ!?」

「あらあらまた照れちゃって…
ぜひ、未来の娘になっちゃってね。
私、はるちゃんなら大歓迎だわ。」

「そんな…っ…ってもう帰りますっ!!」



バタン。


はるが帰っていきなり静まる我が家。