「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

「確かに十発の時限式核ミサイルは残っております。その時限式ミサイルを直接彗星に撃ち込むというのは・・・」

李は少し考えてから
「いずれ大統領の、おっしゃるような方法も検討しなければならない時もくるかも知れません。しかし、今はまだ、そういう結論を出せる状況には至っておりません。なぜなら科学者や天文学者は、ほとんど彗星であると考えて間違い無いと言っているのです。おそらく核ミサイルを発射して彗星を破壊しようなどと言えば、太陽系の自然状態を破壊する事になると反対するでしょう」

「一個の彗星を破壊する事など太陽系全体から考えれば微々たるものであると言えるかも知れませんが、彼らは反対するでしょう」

「結局、もうしばらく経過をみてからの話になると考えます」
と返答すると、笹田は

「おっしゃるとおり、時機尚早かなとは思えますが・・・」

「いずれにせよ、心構えと準備だけは、しておく必要があるかとも思われます。もし核ミサイルを発射して破壊に成功せず、無機物生命体であると結論が出た時に、次に、どう対処するか、あるいは火星の入植地や宇宙空間に存在する宇宙船のことなども、考えておかねばなりませんし・・・」

「無論、李総長のことですから、当然さまざまな状況を勘案されているものとは思っておりますが・・・」
と話すと、李は

「了解しております。あらゆる状況を想定して、早めに手を打つ所存であり、遅すぎる事の無いように努力します」
と答えた。