「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

最終的に情報を伝達する決断をしたのだが、時すでに遅く、無機物生命体は地球の大気圏に突入して来てしまったのだった。

結局、情報を伝えるのが遅れた為に、戦闘の初期段階で多大な損害を被ってしまった。

もしも、もっと素早く情報を伝えていたなら、多大な損失を被らなかったかも知れないし、無機物生命体も、速やかに撃破できたかも知れない。

また撃破できたかどうかは判断できないとしても、少なくとも心構えや準備は整っていた筈であり、被害は、もっと少なくできた可能性があるのではないか。

そう考えていくと、李は情報を発信するのが遅れたことを、ひどく悔やんで、自分を責めていた。

二度と同じ様な過ちは繰り返せない。

李は、彗星の事が気になって、しょうがなかった。

昼食を食べている間も、彗星の事が脳裏に引っかかり、自分自身がトラウマになっているのかも知れないと思いつつも、頭から離れないでいた。

昼食を終え、レストランから出て行こうとした所で、今朝、宇宙戦闘機の結果報告を伝えに来ていたスティーブたちと擦れ違い、何か考え事でもしている面持ちで、ややうつむき加減に出てゆく李にスティーブが気づき、挨拶をしたのだが、李は気がつかずに通り過ぎようとした。

数歩進んだ所で、我に帰ったように、今、声を掛けられたのは自分だったのかと振り向くと、スティーブたちが立っている。