「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

李は頷き、全員が退出し終えた後に、補佐官を伴い、通信本部に向かった。

通信本部に入ると、科学者に発見された彗星について訊ねると、科学者はカメラ衛星が捉えた彗星の映像を見せながら

「これが発見された彗星の映像です。非常に小さな天体で、まだ明るくは無く、彗星特有の尾も出ておりません。現在、冥王星軌道の外側へ向かって、土星軌道と天王星軌道の間を飛行していたカメラ衛星が、偶然、接近中の彗星を捉え発見したものです」

「天文衛星から確認しましたが、まだ小さくて暗く、僅かに捉える事ができるだけであり、カメラ衛星の画像の方が、よりはっきりと識別できます」

「これまでに発見されている彗星の軌道計算を行い、現在、照合中であり、すべての結果が出るのには数時間が必要だと思われますが、今のところ新発見の彗星である可能性が高いと考えております」

と説明を受け、李は、自分自身が無機物生命体に対して、かなりナーバスになりすぎているのかも知れないと思いながらも

「映像を見ても、かなり小さくて暗く、判別し難いが、無機物生命体である可能性は無いのか」
と質問した。

科学者は、天文学者にも映像を見てもらい、これまでの経験から、ほぼ彗星に間違いなく、無機物生命体の可能性は、ほとんど無いと思われると返答したが

「ただし、以前、無機物生命体を小惑星群だと思い込んでいた事実もあり、現在の段階では確信は持てません」
と付け加えた。