「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

「みなさん、地球防衛計画策定会議において議論は尽くされているものと考えており、早速ではありますが、採決に移りたいと思います」

「では決定された三十項目に異存が無ければ挙手をお願い致します」

李が議場を見渡すと、全員が手を上げている。

「有難う御座いました。本日、決定された地球防衛計画は将来、必ずや役に立つものと考えます。また役に立つような事が無ければ無いで、その方が非常に喜ばしいものだと思います」

「いずれにせよ地球の、いえ太陽系での人類の安全が担保できる事になると確信しております。今回の決定は、本日の午後から開催される全体会議で報告され、すぐに実行に移されます」

「みなさんの協力と努力に感謝致します」

会議場に拍手が起こり、李は会議場に出席している全員に向かって頭を下げた。

会議が終了して、出席者が退出していく中、退出してゆく人たちの間をすり抜けるようにして、連絡員が李の所にやって来て

「事務総長、先ほど土星軌道を過ぎた位置を飛行中のカメラ衛星が彗星を捉えました。彗星は天王星軌道の内側を飛行しており、これまでに発見された彗星と照合しておりますが、どうも新発見の可能性が高そうであります」

「今のところ、特に何らかの問題がありそうだと言うわけではありませんが、念のために耳に入れといた方がよろしいかと存じましたので、お伝えに参りました」

と李の耳元で声をひそめて話した。