「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

宇宙戦闘機はアメリカでは二機製造され、もう一機のパイロットにはスティーブと同じ様に無機物生命体との戦いに参加した経験を持つケイトが選ばれている。

彼女は、生命体をニューヨーク沖に撃墜した戦闘で、最後まで戦場に留まり活躍して、技量の優秀さを認知されていたと同時に宇宙飛行士の資格も持っていたので、宇宙戦闘機のテスト飛行には、スティーブよりも先に選ばれていたのである。

二人は月面基地を利用してのテスト飛行を終え、地球に帰還して二週間ほどが経過した本日、事務総長の李に結果報告を行なうべく連合本部に来たのである。

報告は八時四十分から行なわれる予定となっていて、控え室に集まった人たちは、雑談を交わしながらテレビを見ていた。

八時三十分に本部の職員が迎えに来て、集まっていた人たちが控え室から出て行こうとする。

すると、その直前に、テレビのキャスターが、ただいま入ったニュースであると前置きして、西太平洋での海洋調査に向かっていた日本の海洋調査船の通信が途絶えてしまったと伝えた。

原因は判明しておらず、近くの洋上を台風が進んでおり、遭難の可能性があるようで、現在調査中だと言っている。

スティーブは、椅子から立ち上がったまま、流れているニュースを見届けると、最も後ろから控え室を出て、李の待つ会議室に向かった。

職員に案内されて、全員が会議室に入り、席に着くと、開発者や技術者が李に、これまでの経過と結果の報告を始めた。