「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

スティーブ以外の二機のパイロット三名は、瞬間、通り過ぎた光に目がついていかなかったのか、誰も気が付いた者は居なかった。


輝く光の塊が、月の裏側に回りこんだ無機物生命体の前面で停止したかと思うと、ひとつの光の塊が拡散して散った。

散った光の粒が無機物生命体の周囲を取り囲んでいる。

輝く光の粒は、蓮華王院、三十三間堂の一千一体の千手観音であった。

周囲を取り囲まれた無機物生命体の速度が落ちてきて、千手観音との間合いを計っている。

巨大な無機物生命体から見れば、千手観音の輝く光は点のように見える。

その千手観音の穏やかな優しい表情が、見る間に怒りの形相に変わって、祈りの化身である金剛戦士となり、恐ろしいまでの迫力で無機物生命体を睨みつける・・・

そして、ひときわ大きい千手観音が、無機物生命体に向かって先陣を切り、突入を開始すると、残りの千体の千手観音が続き、一斉に突入してゆく。

突っ込んでくる、輝く千手観音に向かって、成長し、電子ビームのようなエネルギーを持つに至った無機物生命体が、光線を発射して突入を阻止しようとする。

成長段階で、未だエネルギーが充分ではないとはいえ、無機物生命体の放つ光線が命中した千手観音は、自らの輝くエネルギーと反発して、弾き飛ばされてしまう。

最初は一本だった光線が二本、三本と増えてきて、戦士が次々と弾き飛ばされていく。
しかし戦士たちは怯むこともなく、鬼神の如く突撃してゆく。

無機物生命体は一気に千体からなる戦士たちの攻撃を受けて、数十体ばかり弾き飛ばしたところで、突入を許してしまい、表面に、たどり着いた戦士たちを振り払おうと回転を始めた。