「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

時間は午後十一時に近づいていた。




由紀たちは正午になったので、昼食を取ろうと食堂へ来た。

この宿で泊まっていた者は、全員が自宅へ帰る者は居なくて、そのまま留まるようである。

昼食の前に宿の人から説明があり、緊急の事態で、食材の用意もままならず、普段のような食事の用意ができないので、理解してくださいと言っている。

また宿泊費は、役所から連絡があり、普段の料金の六割を補助してくれるので、食事の用意を、いつものようにはできないという事情もあり、お客様の宿泊料金の本日分は必要ありませんと説明があった。

由紀と理絵は、そんな事よりも勇太のことが気掛かりであった。

理絵は食事が喉を通らないのか、あまり食べない。

由紀も、そんな理絵を見ながら、全く食欲が湧かなかった。

紀恵お婆ちゃんは、勇太のことも気掛かりであったが、加奈も気になっていた。

今頃、どこで居るのか。

都合よく、どこかの宿で留まることが、できているであろうかと心配していた。

宿泊している者は、食事が終わっても宿から出れもせず、また部屋に戻っていく。

部屋に戻った理絵は、する事も無く窓から外を見ていた。

少し高台に立っている宿の窓からは、下のほうに少々の民家が見え、その向こう側に道路が通っていて、海岸の堤防が見える。

その先には海と空が広がっているのだが、相変わらずに、雲が出ていて、暗い天候であった。