「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

道路も午後三時以後は、緊急の車両以外は原則として通行禁止とする。

だいたい以上のような内容の放送が国内の全放送局を通じて午前七時よりテレビやラジオやインターネットで流され始めた。

役所や警察、消防の全職員は不測の事態に備え、非番の者も全員出勤するように緊急指令が発動された。

由紀たちは、朝食を食べようと食堂へ入った時には、テレビは、どのチャンネルも緊急放送に切り替わっていて、何が起こっているのだろうと思いながら、椅子に腰掛けた時に、ちょうど午前七時となり、午前八時から明日の正午までの外出禁止令の発動についての説明が流れ始めた。

食堂に居る者全員が、テレビに見入っている。

宿の人も立ったまま、テレビを、じっと見ている。

誰も何も喋らずに、静かな食堂にテレビから流れる緊急放送の声だけが響いている。

粗方の内容が流れ終わると、芙美子おばあちゃんが

「大変なことになったわねぇ。勇太さんが急に呼び出されたのも、この無機物生命体への攻撃に関係があるのかしら。何だか心配よねぇ」
と小さな声で言った。

宇宙戦闘機という乗り物に乗務する勇太は、おそらく、この攻撃に参加する為に呼ばれたのだと、理絵は直感し、勇太が心配で心配でたまらなくなった。

以前の無機物生命体との戦闘でも多大の損害を被ったのである。

今回の攻撃も簡単な戦闘で終わる気がしない。

全く持って、不安で、心配で心が詰まってくる。