「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

今まで一緒に旅を続けていた勇太が、突然に抜けてしまい、お婆ちゃんたちも少々寂しさを感じたのだった。

その時、玄関の外から、風が通り過ぎて木々を揺らす音や、電線の唸る音が聞こえた。
五人が風の音に気がつき、玄関の外を見ている。

どうやら、今日は風の吹く一日となりそうである。


勇太の携帯に電話が掛かってくる直前に、小笠原東方海域で発見された物体に向かって、ミサイルを発射するために飛行していた戦闘機が、所定の位置に到着してミサイルを発射した。

ミサイルは物体の直前でコントロール機能を失って墜落してしまい、ミサイルを追跡観測していたニューヨークの作戦本部は、物体が無機物生命体であるのを確信した。

ただちに攻撃準備の指令が発せられると同時に、太平洋沿岸諸国は戦闘が開始されると危険な状況が発生する可能性があるので、これより各国の状況にあわせて二十四時間から三十六時間の外出禁止令を出すように要請する緊急連絡を行なった。


午前六時半過ぎには日本政府にも要請が届き、政府は午前八時から明日の正午までを外出禁止とする事を決定し、すぐに市民への通知を始めた。

外出中の者は、すぐに帰宅するように、出勤途中の者もすぐに帰宅し、商店や工場などの経済活動も停止する。商店や工場で働いたいる者は、速やかに帰宅して、午後一時までに帰宅不可能な者は、その場に留まるようにする。

そして宿泊客などを留めおく宿やホテルには、後ほど政府が一定の割合で保証するので、宿やホテルも協力して客の安全を守ることを要請する。

また公共の交通機関である、バスや鉄道は、一応午後三時までは運行するが、突発的な事態が発生した場合には早めに運行を打ち切る場合もありえる。