「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

突然の出来事で、訳が分からないうちに勇太が行ってしまった。

なぜか、すごく寂しい気持ちに襲われて、涙が止まらなかった。

由紀が理絵に近寄り、理絵を抱き寄せて

「大丈夫よ。すぐに帰ってくるって言ったじゃない」
と言い、理絵を慰めた。

空は、相変わらず、どんよりと曇っていた。

理絵と由紀が宿に帰ると、お婆ちゃんたちが玄関で待っていて

「どうしたの、朝ごはんを食べようと食堂へ行っていたら、途中で宿の人が、由紀さんたちは朝早く出かけて行ったと教えてくれたのよ。何かあったの」

と心配そうな表情で由紀に訊ねた。

「じつわね、勇太さんに突然、宇宙船に乗務するように連絡があって、ヘリコプターが近くのグラウンドまで迎えに来るというので、送ってきたの」

と由紀が答えると、紀恵おばあちゃんが

「本当に突然ねぇ。宇宙船に乗務していると、こんな急な事があるのねぇ」
と驚いている。

理絵は落ち着きを取り戻していて、泣いてはいなかったが、顔の表情は、ずいぶん寂しそうであった。

その様子を見た、真知子お婆ちゃんが

「理絵ちゃん、せっかくの新婚旅行代わりの、お四国巡りだったのに残念よねぇ」
と慰めようとするが、続く言葉が出てこない。