「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

このような時間に電話が掛かってきた例が今まで無かったので、何の電話であろうかと、じっと聞いていたが、勇太の受け応えを聞いていて、普通では無いのを感じ取っていた。

そして勇太の表情が厳しく変わってくるのを見て、ただならない電話ではないかと気づき、不安な面持ちで勇太を見ている。

電話を終えた勇太は、自分を見つめている理絵に向かって

「緊急連絡があり、宇宙戦闘機に乗務しなければならなくなった。三十分後までには、ここの近くのグラウンドまでヘリが迎えに来るので、そこまで行かなければならない」

と伝え、すぐさま出る準備を始めた。

理絵は何があったのか理解できずに、ただ茫然と準備を急ぐ勇太を見ていた。

由紀も二人からは少し離れた所で寝ていたのだが、理絵と同じ様に布団から身を起して、様子を見ていたのであるが、何か大変な事態が起ころうとしているのを感じて

「勇太さん、何があったの・・・いったい、どうしたの」
と勇太に声を掛けた。

勇太は準備をしながら

「とにかく時間が無いので詳しい事は話せませんが、僕が試験飛行をしていた宇宙戦闘機を発進させる決定が下されたのです。まもなく近くのグラウンドへ、ヘリコプターが迎えに来るので、車で乗せて行って下さい」
と言い、着替えを始めた。

理絵と由紀も起き上がると、急いで着替えを始める。

二人は、勇太が新型宇宙船の試験飛行をしているのは、勇太から聞いて知っていたが、それが宇宙戦闘機だったとは知らず、初めて聞いて驚いた。