歩いて行くうちに雷の音が徐々に大きく響くように聞こえ出して、理絵は益々怖くなってくる。
そのうちに、ポツリポツリと雨が落ちてきだすと、頬や手の甲に雨を感じて、勇太が
「理絵、走ろう」
と言うなり走り出した。
走る右手には細くて深そうな淵が続いている。
谷が深くて、この時間には日の光が届かない淵は、両岸を大きな白い岩で挟まれた、蒼く深そうな水の色をした幅の狭い水路状になっている。
真夏であれば飛び込んで泳げば気持ちよさそうであるが、かなり深そうで底が見えず、何やら、えたいの知れない生き物が出てきそうな感じがして不気味でもあり、泳ぐには少々の勇気が必要かも知れない。
どんどん奥に向かって走ってゆくと遊歩道の終点に休息所があり、二人は、そこで、しばらく雨宿りをすることにした。
走ってきている間にも雨は大粒になってきて、休息所に着いた時には激しく降ってきていた。
高い山に挟まれた渓谷の奥から見える狭い空を見上げると、黒い雲の中で稲妻が光ったかと思うと、次の瞬間ゴロゴロドドーンと大きく響き、慌てて理絵が両手で両耳を塞ぎ
「キャー」
と恐怖の声を発した。
勇太も、ちょっと怖かったが、顔はニコニコ笑いながら
「大丈夫だよ。建物の中だから」
と言って、理絵を抱き寄せた。
そのうちに、ポツリポツリと雨が落ちてきだすと、頬や手の甲に雨を感じて、勇太が
「理絵、走ろう」
と言うなり走り出した。
走る右手には細くて深そうな淵が続いている。
谷が深くて、この時間には日の光が届かない淵は、両岸を大きな白い岩で挟まれた、蒼く深そうな水の色をした幅の狭い水路状になっている。
真夏であれば飛び込んで泳げば気持ちよさそうであるが、かなり深そうで底が見えず、何やら、えたいの知れない生き物が出てきそうな感じがして不気味でもあり、泳ぐには少々の勇気が必要かも知れない。
どんどん奥に向かって走ってゆくと遊歩道の終点に休息所があり、二人は、そこで、しばらく雨宿りをすることにした。
走ってきている間にも雨は大粒になってきて、休息所に着いた時には激しく降ってきていた。
高い山に挟まれた渓谷の奥から見える狭い空を見上げると、黒い雲の中で稲妻が光ったかと思うと、次の瞬間ゴロゴロドドーンと大きく響き、慌てて理絵が両手で両耳を塞ぎ
「キャー」
と恐怖の声を発した。
勇太も、ちょっと怖かったが、顔はニコニコ笑いながら
「大丈夫だよ。建物の中だから」
と言って、理絵を抱き寄せた。

