「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

「人間の力は無限よ」
とか言いながら、見ていた。

今日の宿である面河渓の宿に着き、車を降りたところで、紀恵お婆ちゃんの携帯電話に着信があったので、相手先の名前を見ると公衆電話となっていた。

紀恵お婆ちゃんは、咄嗟に加奈ちゃんからじゃないかと感じて電話に出ると

「紀恵お婆ちゃん、加奈です。今日は、本当にありがとうございました。初めて会った私に、こんなに親切にしていただいて申し訳なく思っています。私、きちんと、お四国巡りを結願して、必ず、お婆ちゃんの所へお礼に伺います」

電話の向こうで加奈の声が聞こえる。

加奈が封筒を開けてみると想像以上の現金が入っていて、申し訳ない気持ちと、ありがたさで、お礼の電話を掛けてきたのだった。

歩く途中で、電話をしようとしたらしいのだが、公衆電話が、なかなか見つからずに、ようやく農協の支所の前で見つけて掛けられたらしい。

公衆電話は、ほとんどの人が携帯電話を持っているので、あまり必要とされずに、めっきり設置場所が減ってしまい、簡単には見つけられない。

とはいっても緊急用に必要な場合もあろうと設置はされているのであるが、役所や農協、駅前などに設置されているのがほとんどであり、一般の道路上では、ほとんど見かけられなくなっている。

そして話をしていると、四十四番へ向かう途中で、道の横を流れている川の川原で、子供らが楽しそうに水遊びをしているのを見かけ、川の中を覗くと綺麗な水が流れていた。

今日は暑かったので汗を掻き、自分も川の水で顔を洗って、タオルを水で湿らそうと、川原に降りたのだと言う。