「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

人には、それぞれ色んな人生があり、多かれ少なかれ不運や不幸はあるのだと、理解してくれた。ただ前野は前向きに生きようと努力しているし、理絵も経済的に困窮したことは無く、加奈ほどは、不幸であったとは、言えないかも知れないのだが・・・




午前九時、ニューヨーク
連合本部ビルの玄関で李は朝の風景を眺めている。

本日の午前十時から行なわれる予定の全体会議では、火星復興計画策定会議の結果報告の後、ジェラルディーン全権や原全権が、彗星が接近している事実を議題として取り上げるように発言するであろう。

その後、会議は、どのように進展するであろうか。そして、その時、自分の態度を、どう表明するべきか。

李は、連合本部ビルの玄関を出て、ゆっくりと歩きながら考えている・・・

そこへ補佐官が近づいて来て

「李総長、日本の小笠原諸島の東方海域で消息を絶った、日本の海洋調査船の残存物と見られる浮遊物が発見されたそうです。試験航海中に急遽、捜索のために派遣した新造の電子ビーム砲搭載艦により発見された模様でして、これで遭難したのは確実であると言っております。中国、アメリカ、カナダ、韓国の海洋調査船も二、三日後には相継いで到着するそうで、日本が行なっている捜索活動に加わることになっております」
と伝えると、李は