「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

加奈の涙は止まらず、他のみんなも、もらい泣きをしている。

「私は生きていく気力を失い、死にたくなり、少しばかり残っていた現金を持って、お父さんとお母さんの供養に巡礼に来ました」・・・

加奈が鼻をすすり、顔が涙で、くしゃくしゃになっている。

「巡礼が終わるか、持っている現金が底をついたら、お父さんとお母さんに会いに行こうと考えています・・・死んでお父さんやお母さんと、あの世であって・・・」

とついに加奈はテーブルに泣き崩れた。

加奈は大きな声を上げて、激しく泣いている。

話を聞いていた誰もが悲痛な気持ちになり、言葉が出ない。

加奈の泣きじゃくる声が響き、悲しみに支配されて、みんなも涙が流れ落ちてくる。

どうやれば、どう話せば慰められるのか分からない・・・

何を言っても慰めには、なりそうも無く辛く悲しい時間が流れて、加奈の嗚咽する声だけが響き渡っている・・・

その時、真知子お婆ちゃんから借りたハンカチで涙を拭いていた紀恵お婆ちゃんが

「私はね、東住吉からは少し離れているけれど、同じ大阪府の河内長野市に住んでいるの。私には主人も子供も居なくて一人ですんでいるの。もし加奈ちゃんさえ良ければ私のマンションに来ないかしら。２ＬＤＫのマンションで、そんなには広く無いけれど、二人で住むには充分だし・・・ねぇ加奈ちゃん」
と訊いた。

加奈は顔を覆い泣きじゃくりながら、首を横に振って

「そんな・・・迷惑になります」
と言い、紀恵の誘いを拒む。