「お母さんは、頭のネジがが何本か抜けているのです。それか頭の中身は赤味噌でも詰まっているのです。だから現実に居るものと居ないものの区別がつかないのです」
と冗談を言うと、勇太が加奈を笑わせようと
「赤味噌は無いよ・・・白味噌にしてあげなよ」
と理絵に続けて冗談を言うと、由紀は半ば本気で怒った様子で
「赤味噌でも白味噌でも無いわよ。見た事は無いけど、脳味噌よ。たぶん」
と言った言葉で、お婆ちゃんたちは声を上げて笑い、さすがに加奈も笑っている。
食事が終わりに近づいた頃、今朝、会った前野の話をすると、加奈の表情が変わり、目から涙が溢れ出して、どうして自分が巡礼の旅に出たのかを話し始めた。
「私のお父さんは個人で工作機械や建設機械の販売をしていました。お父さんが若い頃は商売も調子が良かったのだけれど、八年前に体調を崩してからは、借金を重ねて、三年前に肝臓癌の手術中に出血が止まらなくなり亡くなりました。お母さんは借金返済の為に、住んでいたマンションを売り払い、アパートを借りて私と二人は移り住みました」
「借金はマンションを売っただけでは、全部返しきれずに、私の給料とお母さんのパート収入を借金返済にあて、少しずつ返してゆきました。お母さんは、昔から体が丈夫な方ではなかったのに、風邪を引いても仕事を休まずに続けていて、結局、肺炎になり、今年の三月に死にました」
加奈の目からは涙が零れ落ちている。
紀恵お婆ちゃんが持っていたハンカチを加奈に渡すと、彼女は涙を拭きながら
「私は一人で借金を返済するのは無理だと諦めて、相続の放棄を申告しました。その時、私には、将来、結婚をしようと約束をした彼氏が居たのですが、彼は彼の家族の反対もあり、両親も無く、資産も無い私から遠ざかっていきました」
と冗談を言うと、勇太が加奈を笑わせようと
「赤味噌は無いよ・・・白味噌にしてあげなよ」
と理絵に続けて冗談を言うと、由紀は半ば本気で怒った様子で
「赤味噌でも白味噌でも無いわよ。見た事は無いけど、脳味噌よ。たぶん」
と言った言葉で、お婆ちゃんたちは声を上げて笑い、さすがに加奈も笑っている。
食事が終わりに近づいた頃、今朝、会った前野の話をすると、加奈の表情が変わり、目から涙が溢れ出して、どうして自分が巡礼の旅に出たのかを話し始めた。
「私のお父さんは個人で工作機械や建設機械の販売をしていました。お父さんが若い頃は商売も調子が良かったのだけれど、八年前に体調を崩してからは、借金を重ねて、三年前に肝臓癌の手術中に出血が止まらなくなり亡くなりました。お母さんは借金返済の為に、住んでいたマンションを売り払い、アパートを借りて私と二人は移り住みました」
「借金はマンションを売っただけでは、全部返しきれずに、私の給料とお母さんのパート収入を借金返済にあて、少しずつ返してゆきました。お母さんは、昔から体が丈夫な方ではなかったのに、風邪を引いても仕事を休まずに続けていて、結局、肺炎になり、今年の三月に死にました」
加奈の目からは涙が零れ落ちている。
紀恵お婆ちゃんが持っていたハンカチを加奈に渡すと、彼女は涙を拭きながら
「私は一人で借金を返済するのは無理だと諦めて、相続の放棄を申告しました。その時、私には、将来、結婚をしようと約束をした彼氏が居たのですが、彼は彼の家族の反対もあり、両親も無く、資産も無い私から遠ざかっていきました」

