「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

ここまで進むのが予定よりも遅れている。

ここから八十八ヶ所の札所を巡りながら松山まで行く間に、立ち寄りたい見所の候補が五ヶ所あり、滑床渓谷、佐多岬、大洲市と内子町、四国カルスト、面河渓である。

昨夜の夕食時に、お婆ちゃんたちは勇太の休暇期間を気にしていて、遅れを取り戻そうと話しかけ相談して、今日の昼食時までに、それぞれが考えて五ヶ所の中から二ヶ所を選んで決めようということになった。

勇太が休暇期間は、まだ半月ほど残っているので、あまり気にしなくてもよいと言ったのであるが、以前、高知の札所で京都から札所巡りに来ていた個人タクシーの運転手さんと、勇太と理絵が、お四国巡りから帰る途中に京都へ観光で立ち寄るので、お願いしますと話すのを聞いていた、お婆ちゃんたちは、予定が遅れるのを気にしていた。

「それじゃあ、みんな出して頂戴」

紀恵お婆ちゃんが言った。

それぞれ一人が二ヶ所の候補地を書いて出す事になっていて、その書いてある紙を紀恵お婆ちゃんが集めて開いた。

結果は投票の多かった順に、面河渓が五票、大洲市と内子町が四票、四国カルストが三票であった。

お婆ちゃんたちは四国カルストと滑床渓谷は行った事があり、書かなかった。書いたのは、これまで訪れていない面河渓と、お四国巡りをしていると、必ず通る道筋にあるので、そのうち寄れるだろうと、これまで素通りしてきた大洲市と内子町であった。

勇太と理絵は、ここのところ海岸ばかり見ていたので、西日本で最高峰の石鎚山を源流とする面河渓と、日本でもっとも高い位置に広がるカルスト高原である四国カルストを書き、由紀はカルスト地形や鵜飼を見た事が無いので、四国カルストと大洲市の鵜飼を見たいと思い大洲市と内子町に投票した。