「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

会見発表の模様をモニター室で見ていた李は、発表を行なっている科学者らの態度や説明の仕方を見ていて、これならば彗星を無機物生命体だと考える者は居ないであろうと思ったが、記者連中の質問の内容から考えて、ある程度の不安は持っているのであろうと推測できた。

会見発表を終わり、モニター室を出て事務総長室に戻り、今後のスケジュールを補佐官と、うちあわせをしていたところへ、アメリカ全権のジョンデイリーと日本全権の原良次が二人揃って訪れて来たので、李は二人を招きいれた。

補佐官に席を、はずしてもらい、挨拶をした後、ジョンデイリーが

「午後二時からの新彗星に関する会見発表を、原全権と共に拝見させていただきましたが、無機物生命体の可能性は、まず考えられないと発表があり、今のところ安心しております。ただ報道陣からの質問を聞いておりますと、それぞれが僅かながらでも不安を感じているのではないかと思われます」

「その報道陣からの質問の中に、無機物生命体を破壊する考えがあるのか問いかけている場面がありました。そのような事も含めて新彗星に関係する議題を、明日に開催予定の全体会議において取り上げる可能性があるのか、お伺い致したく参った次第であります」
「原全権と少々話し合ったのでありますが、議題として上るのであれば、我々は新彗星に興味を持っており、意見を述べたいと思っております」

「李総長は、どのような、お考えでおられますでしょうか」

ジョンデイリーの言葉に李は、彼らは本国から何らかの指示を受けているのかも知れないと思った。