「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

観音様そっくりに見える巨大さに驚き、感嘆の声が漏れる。

由紀たちが立っている展望台は、絶壁上にあり、海面からの高さが七、八十メートルはあるであろうか。その眼前の海から、そびえ立つ観音岩は、まさしく巨大な観音様であった。

「すごいわねぇ・・・自然の造形物とは思えないわねぇ」

紀恵お婆ちゃんが言うように、自然の物とは思えないほど観音様に見えてきて、まるで神が創り賜わったように思えてくる。

そこに西の海上から一隻の船が、こちらに向かって波を蹴立てて進んで来ているのが見えた。その船は観音岩の所まで来ると、、人を数人、観音岩の土台部分になっている岩に降ろすと、船には他にも五、六人の人が乗っていたが、そのまま東に向かって去って行った。

「怖~い。あんな所で、どうするつもりなの」
見ていた理絵が言った。

展望台から見下ろすと、人の大きさが点のように小さく見える。

岩の上に降りた人たちは、みんな道具を持って降りていて、見たところ釣り人のようである。見ていると、早速、自分が釣るポイントを決めると、竿を出して釣る準備を始めた。

「え~、あんな所で釣るの怖くないの。大きい波が来たり、天候が急に悪くなったりしたらどうするの。逃げ場が無いじゃない。私、絶対にできないわ」
と由紀が言っている。

この付近は磯釣りのメッカであり、磯釣りの人たちが、たくさん訪れるとは聞いてはいたが、さすがに一般の人から見ると、かなり勇気が必要になりそうである。