「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

ホテルを出ると遊歩道があり、、歩いてゆくと、上りが、ややきつい所もあったりするが、展望台に着き、早朝の爽やかな空気の中、景色を見渡すと素晴らしい眺望であった。

理絵が、眼下に見える入り江を見て
「綺麗ねぇ・・・海の水が透き通っていて、海の底がみえているよ」

理絵の言う通り、この辺りの海の水は、近くに工場などの産業活動が無く、人口が少ないという影響もあろうが、日本本土では、最も透明度が高くて、透き通っている。

今朝は天気も良く、波も穏やかになり、入り江の海の底がよく見える。

ところどころ、まだらな模様に見え、岩石であろうか、それとも珊瑚礁なのかも知れないが、底に何かがあるのが見てとれる。

しばらく眺めていると
「理絵ちゃ~ん」

と呼ぶ声がするので、声のする方角を見ると、お婆ちゃんたちが、こちらに向かって歩いて来ている。

お婆ちゃんたちは展望台にまで来て、周囲を眺めて、風景を堪能していたが、由紀が居なく、後から来ているようでもない。

「あれ、由紀さんは」
と真知子お婆ちゃんが、理絵に訊ねたので

「よく眠っていたので、部屋に残してきちゃった」
と伝えた。

真知子お婆ちゃんは
「あれまぁ、こんな綺麗な景色を見られないなんて・・・ちょっと起してあげてもよかったかもね」