【伝説の開始ー11】


「………ってことで
いいですね刑事さん?」






大久保はそう言ったが
何のことだろう?






「お、おお?
えっと、
なんだったかね?」





「今の話、
聞いていましたか?

やはり
疲れているのでは……」






「いや、
考え事をしていた
だけだよ。

もう一度
説明お願いできるかね?」






「大勢で行くより、
一人一人行った方が
川上さんを
説得できるかも
しれないので、

刑事さんもまた後々
行ってくれますか?
ってことです」






ワシ一人でか……


まあ、
もう白井の見張りも
必要ないみたいだしな。






「おお、分かった。
説得なら任せてくれ」






刑事として、
長期の説得なら
お手の物である。






「では
まず刑事さんの前に、
先にワシが行ってこよう」






荻原はそう言った。






「はい、
荻さん頼みましたよ」






大久保の言葉に肯くと、
荻原は猟銃を片手に
外に出て行った。







途端に部屋がシーンと
静まる。






白井と小川は
黙っているので、
必然的に田崎と大久保が
喋るしかない。






何か喋らないと、
間がもたないのである。







「この作戦が
吉と出ればいいが……」






「大丈夫ですよ。

刑事さんも
説得期待してますよ」






「分かっておるよ、
刑事の仕事で
説得はつきものです
からな」






「そうですか……」





……………






またも
沈黙が続いてしまう。






田崎はこれ以上
話すネタもないので、
少し休むことにした