【伝説の開始ー4】


外に出かけようとした
大久保だが、

田崎のその様子を見ると




「あ、白井さん
ちょっといいですか?」






と白井に手招きをした。






そして、
白井と少し話しをすると

大久保は荻原の後に
続いて出て行った。






家には、
最初にここに来た頃の
ように、
田崎と白井の二人きりになった。






「いや~疲れたわい。
もう歩きたくない
くらいだ」






そう田崎は
のびのびとした。






「ふ……そりゃあ、
あんたもう歳だからだろ」






白井のその言葉に、
田崎は言い返す。







「しかし、
若いお前さんよりかは
根性があるぞ?」







「そりゃあよかったな」






「そんなことより、
よくあの吹雪の中
小屋から音が聞こえたな」






確かに
白井の耳にはしっかり
聞こえていた。



要は耳がいいのである。






「それも
あんたが歳だから
聞こえないんだよ」



と白井は
ニヤニヤしながら
言い返した。






「ワシはてっきり、
また何らかの隙をみて
逃げ出す為に
嘘をついたかと
思ったよ」






「………」







白井はその言葉に対し、
少し黙ってしまった。






「そういえば、
お前さん
さっき大久保さんと
話していたが、
何を話してたんだね?」






すると、
白井は何か思いついた
かのように
話し始める。







「………そうだ
スッカリ忘れていた!」







白井は急いで台所に入り

何かを用意し始める