【伝説の開始ー3】


急いで家に戻ると、
皆座り込んで待っていた


どの顔も浮かばれて
いなく、

さっきまでのにぎわいが
嘘のようである。


誰も「どうだった?」
とは聞こうとはしない。


それは、
やはり田崎の顔を見て
判断したらしい。


事実川上を見つけたが、
「皆のところには
帰らない」
と言われたので、
喜ぶ顔もできない。


「見つかったぞ、
川上さん」


田崎のその言葉に
全員狐につままれた
ようであった。


小川が立ち上がり
飛び込んできた。


「本当か!!
どこだ!!!
どこにいるんだ!!」


さすがに
一番心配していた
だけはある。


いち早く、
田崎に聞いてきた。


「でも、そのわりには
浮かない顔を
しているようですが?」


大久保の質問に、
田崎はなかなか
答えられなかった。


「あ……ああ」


しかし、
話さないわけにも
いかない。


仕方なく、
田崎はありのままを
話した。


…全て話し終えると

小川が呟いた。


「……なんてことだ」


川上は見つかったが、
やはり小川の顔は
安堵の表情ではなかった


「まさか
あの小屋にいたとは…
本当に灯台下暗しとは
このことですね」


「じゃあ今度は
ワシら三人で説得に
行こう。

用意するぞ小川、大久保」


そう言うが
小川はまだ少し
呆けている。


「ほれ!
一番しっかりしなきゃ
ならん人が、
そんなんでどうする?

川上を連れ戻しに行くぞ!」


「荻さんの言う通り
ですよ。

さあ行きましょう」


しばらくして
小川は肯いた。


「じゃあ、
ワシらは行ってくるから
刑事さん達は
休んでいるといい」


と荻原と小川は
外に出て行った。


「じゃあ
行ってきますから、
留守番頼みましたね」


「ああ、
大久保さんも
気をつけて行って
ください」


田崎はそう言うと、
ゆっくり腰を下ろした。


かなり疲れている
様子である