【外からの威圧感ー6】


その話を、
田崎は食い入るように
聞いていた。







「俺は恐怖のあまり、
あそこからここまで
走って逃げてきて、

家の前で
力尽きたわけだ」







こんな
情けない話をするのは
彼にとって屈辱だが、

もう
プライドもくそもない。






普段なら
嘘で塗り固め
プライドを保つだろうが

一命を取り留めた今、
不思議と頭が冴えていた




そのせいか
今更になって
プライドを保っても
意味がないと考え、

一切の嘘をつかなかった







「では、
帽子や手袋がないのも…」







「ああ、
刑事さんの察しの通り、
逃げている途中に
風で吹き飛ばされた
ものだ」







雪男に対し、
余程恐怖を感じたの
だろう。





帽子が風で飛ばされる程
物凄い勢いで
走って逃げてきたのが
分かる。







それを考えれば
どれほど小川が必死
だったか、

感じ取ることができる。






「それで、
雪男にどこまで
追われたのですかな?」






「いや、分からん……

第一、
本当に自分が
追われていたのか
どうか…」







小川は森で雪男を見かけ

そこから一切
振り向かずに
家まで逃げて来たのだ。






つまり、
実際すぐ後ろに雪男が
追ってきていると
いうことは、

定かではなかった。






しかし
小川には分かる。


後ろを向かなくとも
分かったのだ。







「俺には分かる、
追われている感覚は
確かにあったんだ。

すぐ後ろに
何かが
迫って来ているのを
感じ取った」







振り返る余裕すらない。





少しでも早く
走らなければ、

命がヤバイ!と
小川の直感が
働いていたのである