【唐辛子団子ー12】


そして
田崎は続けて答えた。






「もうこれ以上
ヤツの好きには
させんからね。

吹雪が止み次第
ここを出て、
我々で何とか街まで
辿り着きましょう」






すると
大久保は心配そうに
聞いてきた。







「しかし、
どこで雪男が
狙っているのか
分からないですのに、
ここを出て
大丈夫ですか?

朝まで待っていた方が
良いと思われますが…」




「雪が止めば
以外に外は明るいから
大丈夫ですぞ。

先程も頂上まで歩けたし
ワシに任せてくださいよ」




「でも、
そうなると小川さんが…」




どうやら大久保は
小川のことを
気にかけているらしい。




「無論、
小川さんが戻って
ワシ達と一緒に
行動してくれるのが
ベストですが、

いつ戻るか
分からないので
待つわけには
いかないのですよ」




「やはり
もう仕方のないこと
なのですね…」




と大久保は
少し元気がなさげである




仲間を置いて
一人だけ下山するのは
辛いのだろうか?




田崎も
その気持ちが
痛い程分かっていた。




「…最低でも、
吹雪が止み次第までしか
待てませんぞ。

辛いですが
心を鬼にして
ワシ達だけでも
ここを出ましょう」




「……分かりました。

それまででも良いので
私は小川さんを待ちます」





と大久保は承知した。




そして
そのまま
外を眺めながら呟いた。



「小川さんは
一体どこまで
行ってしまったので
しょうか…」




そんな
元気のない大久保に、
田崎は声をかけた。




「そんなに
心配しなくとも、

すぐに戻ってきますぞ」




と励ましの言葉を言うと




コト…




ドアの外から、
何か音が鳴った