【近付く影ー1】


人間は生きている中で、
心の底から幸せ!
と感じる瞬間は
何回あるのだろうか?






田崎はまさに
今がそれである。







「あ~腹がいっぱいだ!」

と田崎は腹をなでる







白井は
呆れた顔で見ている。






この小屋には
食料があったのだ。

いや、食料だけでなく
台所や飲み物もあり、
小さな小屋とばかり
思っていたが
実は吹雪で上が見えなく
二階建て
だということにも
気付いた。







小屋というより
家といった方がよいか?






そんな広い小屋だが、
中には誰もおらず、
今は無人と化している。








「あんた…
よく知らない家の
食べ物を
食おうとするよな」







「いや、
腹が減っては戦ができぬ
というじゃないか」






と
笑いながら田崎は答え、


続けて



「…と言うのは冗談だ。
食料も賞味期限は
過ぎていないし
毒でも入っている
わけでもあるまい。

ワシは
こんな薄着なんだから
食わないと
体が温まらんよ」







「それでも俺はゴメンだ」







白井は
一つも口にしようと
しない。







「お前は
暖かい服を着ているから
いいだろう。

凍え死ぬよりは
食ったほうが
マシだからね」







田崎は
緊急事態の時は
最善の方向にもっていく
癖があるのだ。







それでも
白井は納得しない
様子である