【最期の日々ー2】


いつも
この病室から眺める景色





馴染みの
キンモクセイの葉が
パリパリに堅くなった頃

秋の終わりも告げようと
していた。






千里…





そう言えば千里は
堅くなった落ち葉を
踏むのが
大好きだったな…







楽しかった思い出が
甦る。







でもきっと今頃
彼氏と二人で
居るんだろうな。






好きな人のそんな想像は
地獄のように辛いこと
だが、
相手が幸せなら自分は
幸せだ…






とても…

とても悲しいことだが…







「うっし!」







朋樹は自分の頬を
パンパンと叩く。







元気でいよう。

最後まで。



例え相手が別な人と
幸せに居ても、

2人で過ごした日々

2人で愛し合った日々は
決して変わることはない







だから、
今自分は凄く幸せだ。





こんなにもアナタを
感じられることは
なかった。







離れて気付く愛…




そんな尊い愛だからこそ



アナタを感じ、
幸せを握りしめることが
できるんだよ…







朋樹は窓の外を見ながら

暖かい微笑みをした。







本当に心から元気を
取り戻していた。







そうしてこの日はついに
4度目の高熱。


最後の高熱に見舞われる
ことになる…