【ワンコー14】


「うっ…うっ……!」







朋樹の目から涙が
溢れるように出てくる。







「あ、芦田さん?」






突然の涙に
看護婦も少し驚く。





慌てて、
すぐに朋樹を慰めた。






「悲しまないで芦田さん

そんなに悲しんだら
ワンコも安心して
天国に行けなく
なっちゃうわよ」







……違う…







悲しんで
泣いてるワケではない…







いつも、
死の絶望を持っていた
朋樹は

こんな小さなワンコに
「生きる強さ」を
教えてもらった。







その、
言葉にはできない感覚が

朋樹の涙を
再び呼び起こしたのだ。








「うっ…うっ!」








生きる強さ…

自分の生きた証…







絶望の中死ねば
絶望でしかない。







例え、
命が短いと
分かっていても






例え、
大好きな人と離れても







最後まで、
強く生きなきゃ
いけないんだ。







「う……!う…」







ワンコ……







ありがとう…








ワンコのおかげで、
生きる強さを学んだよ…







この短い命…

最後まで強く生きるよ…