【ワンコー11】


予想通り、
その日の夜
ワンコの容態は急激に
悪化した。







そろそろ就寝時間に
なりそうという頃
だろうか?



朋樹の病室に、
看護婦が
息を切らして入ってきた







「芦田さん!!
ちょっと来て!!
ワンコが大変なの!!」







あの時、
ワンコの世話を
任せてくれた看護婦で
ある。







バッ!!






何も言わずに朋樹は
飛び出し、
ワンコのもとへと
急いだ。







外に出て、
いつもの道を小走りし
ワンコの小屋にたどり
着くものの、
どこにも姿が
見当たらない。







「芦田さんこっち!」







看護婦にそう言われ、
急いでその声を追った!






落ち葉が溜まる紅色の
木の下。


この場所に移された
ワンコは、
毛布の上で
息を荒くしていた。







辺りは血だらけで、
その量から
もう助からないことも
分かっていた。







「ワンコ…」







近くに行き、
そっと撫でてあげる朋樹







目の見えないワンコは
触れられて
初めて朋樹を確認した。







「ワン!」







こんなに苦しくても
元気に応えるワンコ。





そんな生きる姿を、
朋樹はただただ
見つめていた