【ワンコー4】


特に噛みつく様子も
なさそうなので、

朋樹はしゃがみこんで
その犬に触れて
みようとした。








「お~…よしよし…」







……が、
犬は尻尾を振るものの
差し出した手に反応
しない。







「お前…」







その犬の両目を見ると
真っ赤に
腫れ上がっており、
朋樹の手に見向きも
しない。







どうやら
こちらが見えていない
ようである。







この犬は
飼われているのか?

病院に犬なんて珍しい。







それに、
目が見えない犬なんて
何で…






「芦田さん」







不意に後ろから
聞こえた声。



振り返ると、
よく検査をしてくれる
看護婦のお姉さんが
立っていた